酷暑の季節を生き延びるために

 世界的に北半球は猛暑の夏になっているようです。対する南半球も例年より厳しい寒さがやってきているとのこと。地球上に生きる私たちを取り巻く環境は陰陽のバランスをとっていることが、そんなところからもうかがえます。

 というわけで、暑さのために身体が消耗していると感じている方におすすめなのは、薬膳でいえば清熱類に属する食材です。以下、清熱類の食材を簡単にご紹介します。

①瓜類(すいか、メロン、ズッキーニ、胡瓜、苦瓜など)。中でも苦瓜が最強!
②熱帯地方原産のフルーツ(バナナ、マンゴー)。
③豆腐や湯葉。冷奴が美味しく感じるのは自然の摂理なんですね。
④トマトをざくざく切ってオリーブオイルと混ぜてドレッシング風にして、鶏肉・豚肉やイカ・タコとともに食するのは、夏バテ予防に最適なレシピ―です!

イカのザクザクトマトソースがけ

 しかし!夏バテを分析していくと、問題は身体が感じる暑さというよりは、現代社会に必需品となってしまった冷房機器との共存問題が大きいのではないか、と私は感じます。

 特にサービス業従事者の方は職場の冷房がとてもきつい!通勤通学に欠かせない電車やバスの中も冷房がきつい!しかし、一旦外に出ると灼熱のコンクリートジャングル!こんなに極端な環境の変化を一日の中で経験することは、人類の歴史の中でもごく最近のことです。環境に適応するために身体が懸命にがんばって疲れてしまうのも当然ですよね。

 だから、夏こそ!冷房でガンガンに冷やされてしまった身体を、帰宅後にお風呂に入ることによって癒してあげましょう!意外と、「夏はシャワーで済ませています」という方が多いのですが、日本のお風呂文化は伝統的な養生の知恵なんですね。

歌川豊国『風呂場美人』

 お風呂に入る時間はベッドに入る2時間前がおすすめです。すこやかな入眠条件となる深部体温の低下のためには、いったんお風呂でほてった身体をさます時間が必要なのです。お仕事などで緊張を強いられた身体をリラックスさせて、質の良い睡眠に導いてあげましょう。

交感神経と副交感神経のスイッチをしっかりと切り替えてあげる儀式としてのお風呂!素晴らしいですね。

 しかし、そのお風呂文化を享受できるということは、世界レベルでみると、ものすごく贅沢な水資源の使い方。日本で生活するということの意味、噛み締めたいものです。日本の伝統的リトリート施設である湯治場も、再評価されてしかるべきでしょう。

 ちなみに、私が大学教員時代に指導をしていたオーストラリア・メルボルンに短期留学をする大学生にとって、ホームステイ先でのシャワー時間を5分以内におさめることは必須条件でした。条例によってシャワー時間が決められているのです。水が貴重な資源である乾燥大陸オーストラリアならでは。

 「5分でシャワー完了は無理!」ということで、ロングヘアをばっさりと切ってしまった女子学生もいました。「5分でシャワー室を出てこないと、ホストマザーがガンガンとドアをノックする」という指導教員の脅し文句におののいた模様(笑)。いや、本当にそういう目にあった学生は数知れずなのですよ。

 そういうわけで(?!)、夏こそお風呂!なのと同じ論理で、夏こそお腹を温める飲み物を意識してもらえると更に養生効果が上がります。暑いからということで、冷たい飲み物や食べ物ばかりをお腹にいれると、実は胃腸には相当な負担をかけてしまいます。

 シンプルに白湯を胃に入れるのがおすすめ。温かいスープ類もいいですね。

 それでは、みなさまがすこやかに夏を乗り切れますようお祈りしています。

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