!Bienvenido al mundo de Acupuntura Japonesa!
今年のペルー渡航メインイベントは、なんといっても国立アマソナス大学-UNTRMでのセミナーについてです。
国立アマソナス大学は正式名称をトリビオ・ロドリゲス・デ・メンドサ・デ・アマゾナス国立大学といい、2007年に創設された新しい大学です。
大学創設をめぐっては、かのフジモリ大統領の逸話が現地で伝えられています。
大統領は前回ブログで紹介したクエラップ遺跡がお気に入りで、何度かチャチャポーヤスの地を訪れたそうです。その際、空港にて一人の若者が、こんな呼びかけをしたのです。
「大統領!ここに大学を作ってください!私たちには大学が必要です!」
その声に、飛行機に乗ろうとしていたフジモリは足を止め、若者の元に歩み寄り、こう問いかけました。
「大学がほしいのか?」
「はい!欲しいです!」
「よかろう、では大学を作ろう。」
というやりとりが発端となって、本当に大学がチャチャポーヤスにできたという逸話です。
いかにもラテンアメリカ的な逸話です。もちろん、フジモリ大統領にはこのような逸話がいくつも存在し、信憑性は定かではありません。ただ、フジモリのスター性を象徴するエピソードの一つであることは間違いありません。
現在では、UNTRMにはアマソナス州だけではなく、ペルー北部の優秀な学生が集まってくる国立大学として位置づけられ、経済学部から医学部まで13学部を有する総合大学。
今回我々は、医学部および医療関係学部の教員・学生を対象に、日本鍼灸のセミナーを行いました。
今回のセミナーのコーディネーターとなったオマール先生は、べネズエラ出身の医師+鍼灸師。現在、Colcamar(先インカ期のChachapoyas 文明期より薬草師やシャーマンが活躍したことで有名な土地柄)に於ける伝統医療についての博士論文執筆中とのこと。
前日の打ち合わせでは、医学部のカルメン学部長先生にも表敬訪問。学部長先生もベネズエラ出身で、1930年代に広東から移住した祖父母を持つ医師+鍼灸師であること、伝統医療に造詣が深い方であるということがわかりました。
その際、日本鍼灸で使用するモグサの話をすると、チャチャポーヤス自生のヨモギの話になり、最終的にはアマソナス州の資源を活用したモグサ工場を作ろう!というだいぶ規模の大きいの話まで出てきました(笑)。
セミナー当日は計17名の参加者がおり、伝統医療および代替医療との統合への意欲がある看護学部や医療系技術者養成学科、心理学系学科の教員と学生が集まりました。
セミナーの大きな流れは三段階。
まずは日本鍼灸についての講義、次に実際の日本鍼灸臨床風景をお見せするためのデモ、そして最後にモグサをひねる実技の練習。
デモは実際に受けたいという患者さんが前日の段階で4名もいらっしゃいました(笑)。
さすがに多すぎるので3名の方の治療風景を見ていただきました。
今回は日本鍼灸全般について、中国鍼灸と違うところを選んで説明しましたが、会場で大きく反響があったのは以下3つの項目でした。
一つ目は小児はり。
これは中国鍼灸を学んだ先生が大いに関心を示しました。こちらでは、子どもに鍼なんてとてもじゃないけどできないというのが一般的な反応。
子どもむけ鍼!というのが既成概念を崩したようです。予定になかった小児はりの道具を見せて回ることにもなり、子ども×鍼灸は未開の分野のよう。受講生が、ほとんど女性であることも関連したのかもしれません。
そして、やはり簡単にできる施術にはとても関心が高く、小児はりの簡易版であるスキンタッチは好評。非侵襲性の治療は大人にも好評でした!
二つ目は透熱灸。
やはり、中国鍼灸で通常使用するのは棒灸ですから、米粒大モグサで施術すること自体が新鮮だったようです。デモの様子を参加者が食い入るように観て感嘆していました。実際に、参加者に板の上にちねって置いてもらう実技はかなり盛り上がりました。皆さん、すぐにもぐさを米粒大に捻れるようになったのは驚きでした。
お灸にも誰にでもすぐにできる施術としての魅力を感じている模様。
三つ目はさまざまな日本製道具。
実は一番質問が多かったのは、私たちが持っていった道具についてです。いまだに日本の技術力神話は現地に定着しており、よく言われたのが「日本の物だったら何でも欲しがる」ということでした。
お灸のモグサ、刺している鍼、パイオネックス、てい鍼、小児はり…考えてみると私たちは日本鍼灸道具を結構持参しました。
現地でサロン経営している参加者の一人はパイオネックスに興味深々。「あなたたちが持っているのを全部買うわ!」とおっしゃるほど。
次回セミナーには神田の鍼灸道具店三景さんとコラボが必要か!?というわけで、参加者の皆さまにはお店の紹介もしました。
ありがたいことにセミナーは好評いただき、「来年は1週間コースで来てね!」と言っていただきました。今回は1日4時間だけの単発セミナーでしたが、確かに透熱灸の実践ができるようになるには、もう少し時間が必要だと思いました。
実をいうとVidaSana日本鍼灸セミナーの一か月ほど前に、フランスの「国境なき鍼灸師団」というNPOが中国鍼灸のセミナーを行っていたそうです。フランスの鍼灸セミナーがどのような内容だったのかすごく気になる……
いずれにせよ、VidaSanaが今までやってきた日本鍼灸紹介の集大成をやりきった一日となりました。
大学から修了証も発行して頂き、充実感満載のセミナーでした!
では、今回はこれくらいで。次回はチャチャポーヤスで行った施術について紹介しますね。
引き続き、皆さまの日常が健やかでありますように。