竹筒職人への道

 皆様こんにちは!

 桜の開花も間近かと思われた3月上旬から一変して、寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?

 VidaSanaには花粉が耐え難い時期になってまいりました。特に私Chikakoは毎年この時期になると、朝晩の水様の鼻水に悩まされます。寝ているときにタラっと垂れる鼻水で目を覚まし、安眠を妨害されるのは本当にブルーな気分。

 そんなときには、東洋医学の力!

 鍼灸治療はもちろんですが、花粉症には漢方の力も借ります。

 私のような水様鼻水には小青竜湯!

漢方薬「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」は、「水(すい)」によって冷えた体の部分を温めながら水分代謝を促すとともに、「気(き)」を動かして、鼻水(鼻汁)・くしゃみなどの鼻症状を抑える作用がある医薬品です。眠くなる成分が入っていないので、仕事や学校で眠くなりたくない方にも適しています。水のような鼻水(鼻汁)や痰(たん)、くしゃみ、鼻づまり、咳などの症状があるとき、かぜやアレルギー性鼻炎などのときによく処方されます。また、花粉症の治療にも使われているほか、鼻炎、気管支炎、気管支喘息(ぜんそく)などにも用いられます。

(クラシエHP漢方セラピーより)

 漢方は長く飲んでいないと効かないんじゃないの? と思われる方も多いのですが、花粉症で出た水様鼻水には小青竜湯は即効性があります。多くのドラッグストアで取り扱いがありますので、水様鼻水でお悩みの方はぜひお試しください。

 ちなみに、花粉症で鼻づまりに悩まされるタイプの方は、体質がちがって、漢方薬の処方も異なりますので、ご注意ください。

 さて、タイトルの竹筒職人です。

 昨今のVidaSanaの施術を受けてらっしゃる方はご存じでしょうし、「筋整灸のすすめ」のブログでも書きましたが、VidaSanaのお灸施術は、いわゆる台座灸というドラッグストアでも売っているものと古典的な透熱灸を併用しています。

 透熱灸は、ふわふわのもぐさを米粒大にちねって皮膚の上にのせ、線香で焼いて熱を身体に伝える手法です。このやり方は日本独特なもので、いま世界的に普及している中国式の施術としては使われていません。

 今、お灸といえば、せんねん灸さんが販売しているような台座灸を思い浮かべる方が多くいらっしゃいます。灸というと「ああ、せんねん灸の」といわれることが多々あります。本当にお灸を広めて、残してくれたせんねん灸さんには感謝しかありません。

 ですが、台座灸はお灸の進化系です。古くは上のような米粒大のお灸を行うことが、中国の古代から伝わるやり方です。この古典的なやり方を透熱灸といいます。

 この透熱灸、米粒のように小さいのに、なんと台座灸よりも断然熱い。チリっとした熱感が一瞬で伝わります。台座灸は燃えるもぐさと皮膚の間に空間を作ってありますが、透熱灸は皮膚の上で燃えていますから、当然といえば当然ですね。

 (ただし、中にはこの透熱灸の一瞬の熱よりも、台座灸の持続時間が長い熱の方が苦手という方もいらっしゃいます。)

 この熱い透熱灸、なかなか現代の人間になじんでもらうことが難しい。基本的に誰でも痛いのと熱いのは苦手ですからね。

 そこで、どうにか熱さを感じ過ぎずに透熱灸ができないものかと画策した人が現れます。昭和の名灸師、深谷伊三郎です。(深谷伊三郎についての説明は「筋整灸のすすめ」をご覧ください。)

 深谷伊三郎が生み出したお灸のメソッドを深谷灸と呼び、深谷伊三郎が亡くなった今でも勉強会が開かれ、受け継がれています。

 この深谷灸の特徴のひとつがこちらの竹筒を使うことです。

 竹筒は節の所で切られており、中が袋小路になっています。これを燃えるもぐさの上にかぶせるのが深谷灸のやり方ですが、これには二つの意味があります。

 一つ目は、圧刺激を与えること。竹筒を灸の上からかぶせ、圧すことによって、皮膚には圧されたという刺激が伝わります。人間の皮膚というものは触られたという感覚の方が、熱さの感覚よりも早く伝わるため、圧されているという情報が脳にいき、後から来る熱いという刺激を感じにくくしてくれるんです。

 まさかー、と思いの方もいらっしゃるでしょうが、こればっかりは受けてもらわねばわかりません。筒ありと筒なしでは熱さはまったく違って感じられます。

 二つ目は、燃え方の調整。筒を皮膚に押し当てることで、その中に空気が出入りすることはなくなりますね。火は空気中の酸素を使って燃えることができますから、周りの酸素を使い果たしてしまうと消えてしまうんです。この原理を応用して、竹筒の中に空気を閉じ込め、酸素を燃やしつくし、艾が完全に燃え切る前に消火してしまうのが狙いです。

 この作用を使って、皮膚に到達する前ギリギリところで火が止めるようにお灸をされる先生もいらっしゃいます。

 さて、この竹筒ですが、説明の通り、圧を加える、お灸に蓋をするという役割が求められるだけなので、元はなんの変哲もないただの竹です。竹を節の所で切ってしまえば完成! 超簡単! なのですが……

 ここはモノづくり大国日本です。シンプルな道具にもこだわってしまうのが日本人のオタク魂。

 長さは12cm、直径は2.5cm程度。施術する方にとって圧しやすいだけでなく、患者さんにとっても皮膚に竹筒を圧しつけられても痛くないようにしっかりとヤスリをかけて、口の部分を滑らかに仕上げております。

 さあ、お一ついかがでしょうか!

 ……なんでこんな話をしているかというと、

 この度、Vida Sanaが神田の鍼灸道具店三景さんの竹筒製作を下請けすることになりました!

 というわけで、製作風景がこちらになります。

 この写真の左が深谷灸で使う深谷竹、もう一つの右はカナダのバンクーバーで鍼灸師として開業されている水谷潤治先生の水谷竹(水谷竹も深谷竹を元にして作られております)。この2種類をVidaSanaが下請けしております。

 

 昔ながらの人力、のこぎりとやすりだけで作っております。電動工具は一切使っておりません。人の心が詰まった一品、ぜひ神田の三景さんでお買い求め下さい!

 大変愉快な店主さんが迎え入れてくれます!

 神田の三景さんは日本の鍼灸道具、特に灸用品を世界の鍼灸師に販売している国際派の道具店さん。最近ではお灸研修ツアーで日本を訪れる外国人もおりまして、店主さんだけでは大変というときにはVidaSanaがヘルプに入ることもございます。

 今回も竹筒の納品とヘルプで神田まで行ってまいりました。

 神田の三景さんは煙たい人、面白い人、お灸が好きな人、どんな人でもウェルカムの素敵な場所です。神田に立ち寄った際はお灸道具を求めて立ち寄ってみてはどうでしょうか?

 それでは皆様の毎日が煙たく、面白い毎日になりますように!

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