※以前のペルーブログ同様、ここでも日本人には少しショッキングな画像が出ます。ご了承ください。
今回はスペインでの食事情!を紹介します。
食の原点は市場にあり。まずは、タラゴナの市場をご覧ください。
肉も魚も野菜もキロいくらで売っていました。もちろんキロにいかない場合もグラムに合わせて販売してくれます。キロ単位で売っているので一見割高にみえるかもしれませんが、国産の野菜だけで言えば日本よりも安いです。
さらに、スペインといえばこれ!
やっぱりハモン! 生ハムですよね。豚の種類によって、豚のえさによって生ハムのランクが決まっており、どんぐりを食べて育った豚が一番いい豚。
ハムの固まりから切ってもらう光景が肉屋さんでは当たり前。普通のスーパーにも生ハムの塊は置いてありました。生ハムは生活の一部ということが伝わってきます。
さて、きますよ。かわいそうとか、気持ち悪いとか思う方もいると思いますので、そういう自覚のある方は読み飛ばしてくださいね。
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今回のご当地食材は 、カエルとウサギちゃんです。
両方とも肉質はほぼ鶏肉で、カエルは魚っぽい淡白な仕上がりで、ウサギは鶏と違って四つ足なので、柔らかい豚に近い感覚で食べられました。
両方とも一匹当たりの肉の量は少ないのですが、美味しい食材です。
スペイン人はローマ時代にウサギ食いの人種といわれたくらいですから、ウサギはパエージャにも、煮込みにも、ただ焼くだけでも食べます。
スペインご飯の特徴のひとつといってもいいでしょう。
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はい、ショッキングは終了しましたよ!
さてさて、ではこちらをご覧ください。
こちらの食事はスペインで一番安くご飯を楽しもうとした結果です。
サラミはこれで1ユーロ、チーズはこの量で2ユーロ。(当時1ユーロ170円)。
日本ではなかなか買えない値段。この二つに関しては日本よりも安く、クオリティが高い。間違いなくスペインで食べるべきものです。
そして、スペインはワインの産地ですから、ワインはご飯のお供として必須。
しかし、前々から感じていたんですが、日本で飲むスペインやチリの輸入ワインの方が安くてクオリティが高いんです。今回の訪問で、断言することにしました。おかしいのは現地ではなく、日本。これは日本のバイヤーが、日本人が美味しいと感じるワインを日本人が買える価格で的確に買い付けているということなのかもしれません。チリ産ワインが隣国のペルーよりも、はるか遠く太平洋の向こう側の日本で安く提供されているのは、関税の問題があるにしても、なんだか腑に落ちませんよね。
今回滞在した地域では、スペイン産以外のワインを見つけるのも難しい状態でした。スーパーには無数の地元ワインが並んでいます。この中から本当に日本人の舌に合うワインを見つけるのは至難の業。いや、本当に日本のバイヤーの舌は凄いです。日本のコンビニで買うワインが美味しいのは、海外のワインがすべて美味しいからではなく、バイヤーの買い付け力だと思っております。
さて、約2週間の滞在中、食事の時間も現地のリズムになっていきます。朝食は7〜8時くらいであまり変わらないのですが、昼食は2〜3時、夕食に至っては9時〜10時!
なぜかと申しますと、ここに原因があります。
これは何時だと思いますか?
なんとこれで夜9時なんです。夕方6時前後が、一番日差しが強い!日本でいうなら昼の2〜3時くらいの明るさなんです。となると、昼間が日本よりも3~4時間は長い感覚で生活することになります。さらに、お昼ご飯は結構ボリュームのあるものを食べますので、夜9時くらいにならないとそもそもお腹がすいた気がしないんですね。
さて、問題の食事内容についてなのですが、こちらをご覧ください。
すべてですね、美味しいんです。美味しいんですよ。しかし、見ておわかりかもしれませんが、圧倒的に油分が多いんです。米を使っているパエージャにも油分がたっぷり。オリーブオイルを使って炊いたご飯の上に、さらにオリーブオイルがかかっている! 地中海沿岸国を旅して消化器系のトラブルに見舞われる日本人が多い原因は、食事に使われるオリーブオイルの量ですね。
外食だからということもあるのですが、油分の多さと野菜不足! これが日頃、日本で山ほど野菜を食べるVidaSana国際薬膳師2名にとってはつらい…
日本だとどんなお料理でも多少の野菜が入っていたり、サラダが付け合わせでついているのが当たり前。ところが、スペインのレストランでは、揚げ物なら揚げ物がドーン!肉とフライドポテトドーン!ポテトサラダには追いオリーブオイル!
10代~20代の揚げ物大好きな若者なら、一生ここの食事でいい!と思ったことでしょう。特に揚げ物しか食べたくない方々は。
しかし、VidaSanaには野菜が必要!
レストランで野菜といえばこれでした。
ししとう焼きです!
これは最高に美味しかった。しかし、あとは自炊でないと野菜が補給できない!
さあ、作りますよ、野菜スープドーン!
こんな感じで自炊によって野菜欲を満たす日々でした。
市場で売っていた野菜惣菜もバンバン買いました。
日本で「スペインに行く」というと、「いいなぁ、美味しいものがいっぱいだから」と言われました。
でも、Chikakoは疑問に思っていました。みんなスペインの何が美味しいと思っているのだろうと。「具体的に何?」ときくと「パエリア!」という答えでした。
たしかに、パエリア、美味しいですよ。海鮮の出汁が効いていて、イカ墨とかウサギが入ったパエージャは本当に美味しかった。パスタのパエージャもこんなに美味しいなんて思ってもみないくらい美味しかったです。
スペイン有数の米生産地なだけはあります。
ただ、毎日毎日、パエージャは食べられない。味が濃すぎて日本人の舌は疲れてしまう。何かあっさりしたもの! という料理が欧米諸国では、まず、お目にかかれない。ところが、日本には、なんでもあるんです。塩おむすびと味噌汁から、刺身&とんかつ&ハンバーグまで!ファミリーレストランに取り揃えられている和食から洋食にいたるバラエティには瞠目しますね。スーパーの品ぞろえも素晴らしいです!こんなに充実した多様な食材を、だしに代表される繊細な味付けで料理することができる土地は、なかなか他にお目にかかれません。WASHOKUがユネスコの無形文化遺産になるわけですよ。
そこで、VidaSanaはひとつの結論に至りました。
「失われた30年」に日本人が無意識に行ってきた生き残り作戦=美味しい日常食を日本全国津々浦々に安く提供するサプライチェーンの構築。結局、日本人は日常的に美味しく飲み食いすることによって、長時間労働にもがまんして、狭い住空間にもがまんして、低級な政治家にも無関心を決め込んで生きていられるのではないか。
いや、本当に驚きですよ。21世紀の日本でご飯がマズ過ぎて食べられないようなお店は、ほぼないじゃないですか。ところが、海外だと普通に出てくるんです。塩辛いだけのスープとか、油が臭くて食べられないようなチャーハンとか、固すぎて歯が立たないパンだとか…
1980年代くらいまで、日本の外食産業はこれほどレベルが高くなかったと思っています。特に、バブル崩壊以降、日本の外食産業のレベルがぐーんと伸びたと思うんです。特にチェーン系といわれる全国で安く食事を提供する店が。
日本では給料が安いから、安い値段で最大限美味しいものを提供し続けるという外食チェーンの努力の結果、日本人が唯々諾々と現状を受け入れる体質が作られているのではないか、という乱暴な結論に達してしまうVidaSanaでした。
スペインでは、ごく普通にお昼の定食を頼むとしたら2,500円くらいからスタートです。おそらく、他の欧米諸国の物価も似たようなレベルでしょう。給料レベルもそれ相応でないといけませんが、サービス業では移民労働者が安く使われているのが現状です。
こうした流れは、着実に日本にも到達しつつある。東京では、コンビニやチェーン系外食店で働いている人の多くが外国人によって占められていることが、もはや日常化してきています。果たして、いつまで、日本の美味しい外食チェーンは存続できるのかでしょうか。サステイナブルとは言えない業態であることは確かでしょう。
スペインワインを飲みながら、VidaSanaは日本の未来を憂えたのです…ええ、酔っ払っていたに決まっています(笑)。今回の滞在では、本当に日本食が恋しくなったのです。Chikakoが少し体調を崩していたせいもあると思います。身体が弱っていると、しつこい味に対する耐性が落ちます…
日本に帰る飛行機でこれほど日本食が恋しい! 早く食べたい! と思ったのは久々でした。Daisukeは、トランジットのカタール空港で¡Quiero comer comida japonesa!(日本食が食べたい!!)とずっとつぶやき続けていました。
ああ、素晴らしきかな、日本のご飯!
こうして私たちも従順な文句を言わない日本人になっていく。ああ、なっていく…(本当か?!)
これにて、今回のカタルーニャ滞在報告を終わりにしたいと思います。
それでは、まだまだ暑い日が続きます。屋外での作業は避け、なるべくのんべんだらりと過ごしてくださいね。お天道様の思し召しなので、仕方ありません。
皆様の食事が素晴らしい毎日でありますように。
この滞在中最高に美味しかったレストランの料理で最後を締めくくります。
貝の酒蒸し、イカの卵のフライ、タラの卵のトマトソース和え、焼きマグロ。
毎日ここの食事ならハッピーでしたが、なかなかハッピーなお値段のレストランでした!