皆さま、こんにちは!
関東では桜も終わり、つつじの季節になりましたね。相変わらず、気温のアップダウンが激しくて、夏日になったり、冬のようになったりと、自律神経には好ましくない時期。春は彩色豊かな季節ですが、気候の変化は身体にしんどいものがありますよね。

東洋医学における五行説(宇宙の要素=木火土金水)によると、春は「木」に属します。「木」は成長の象徴ですから、上へ上へと上昇していく季節とも捉えられます。以前のブログでも書きましたが、「木」の季節には人間の身体でいうと頭の方に気が溜まってしまいがちなんです。
そこで、Vida Sanaの施術では頭に集まりがちな気と血を下げるため、井穴刺絡(せいけつしらく)を行っております。
そこで問題になるのは井穴刺絡とは何か? ですね。
手足それぞれの指先には身体を巡るエネルギーのルートである経絡の終着点と始発点である井穴(せいけつ)があります。井穴は気血の流れを変えることのできる有力なツボと考えられています。具体的な場所は、下記の画像をみてください。

これらのツボから刺絡(以前のブログでもお伝えしましたが、余分に溜まっている血を出す鍼灸の技のひとつ)を行うことを、井穴刺絡と呼びます。
井穴刺絡によって、頭に集まりがちな気血の流れを末端に向けることができ、終わった時には春のぼんやり頭がスッキリ! 意識がはっきりします。
その他にも井穴刺絡はとても役に立つんです!脳卒中を起こした際、井穴刺絡を行うことで脳に集まりすぎている血液を手先に引き、後遺症を軽くできる効果があると鍼灸学校で教わりました。鍼灸師でないとできない技ですが、緊急事態には指先から血を出す!ということを覚えておくことは決して損にならない知識だと思います。
もっともセルフケアではさすがに指先から血を出すのは難しいので、誰にでもできることとして、井穴指圧をオススメしております。
とても単純なテクニックです。爪の両脇を反対の手の指で挟んで、ぐっと力を5秒ほど加えるというものです。

これを手の指10本分行うことで、井穴刺絡に類似した効果をあげることができます。井穴指圧で、みなさまの気分がさわやかに晴れますように!
さて、本題です。
皆さま、最近温泉に行きましたか?
実はVida Sanaは那須湯本温泉の名湯:鹿の湯に行ってまいりました!

今回実際に入ったのは鹿の湯の下にある滝の湯ですが、源泉と泉質は一緒。鹿の湯の方が日帰り観光客向け。滝の湯は地元民、民宿宿泊者向けとなっています。

那須温泉郷には、昭和の時代感が香る民宿街が残っており、一つの通りにずらりと民宿が並んでいます。

そんな民宿街では、早朝獲れた鹿を解体している現場にあう方も!
Vida Sanaとしてはそんな機会があるならぜひ見学させて! と思うのですが、血をみるのもお断り! という人にとってはハードルが高いかもしれません。

しかし何よりも鹿の湯で注目すべきなのは、なかなか強力な温泉効能。
泉質としては、酸性含硫黄・カルシウム・硫酸塩泉。泉温は68.1度。PHは2.53で強酸性!
といわれても、日本の温泉成分の基準が分からないと、鹿の湯すごさが伝わりませんよね。下記の表をまずはご覧ください。温泉成分は10種類です。
詳しくはこちらの温泉協会のサイトをご覧ください!
そう、今回行った滝の湯は酸性硫黄泉ですから、傷を治す効果が抜群な温泉だったんです。しかも、源泉温度はかなり高温。温めないと冷たい温泉も少なくないんです。

鹿の湯の性質を考慮したオススメの入り方は、1分は足だけ、次の1分は腰まで、最後の1分は身体全体で浸かる。これを3回やったらお湯から出ましょう。長風呂をするとすぐに湯当たりを起こすとのこと。 それだけ、強力な温泉成分が身体に入り込みます。
実際入った経験から言っても、5分くらい温泉につかっただけで身体ポカポカ! そのあとも3時間は熱が身体の芯まで残っていることを感じました。さらには、身体がどんどんデトックスしたがっている=排泄を促されていると感じたんです。他の温泉では感じたことのない強い影響力。
なるほど、これが、湯治か!
ということを痛感させられました。
硫黄泉は身体に強い変調作用をもたらすため、身体の弱い人には刺激が強すぎるとのこと。それだけの効果が期待できるということでもあります。つまり、身体のコンデションに合致した温泉に入ることは、確かに養生につながるんだ!ということを再認識することになったのです。
湯治を広く推奨したのが江戸時代の古方派医家として有名な後藤艮山(1659-1733)です。

艮山は、現在の漢方に連なる古方派の先駆者とされ、すべての病の原因は気の滞りによって生じるという「一気留滞説」を説いたことで有名。Vida Sanaとして注目したいのは、医師として早くから養生・セルフケアを一般人に説いていたということ。
艮山が提唱するセルフケアの三本柱は以下のとおり。
一つ目は食養生。五穀・野菜の適切な摂取はもちろんのこと、当時としては珍しく鳥獣肉の食用を推奨しました。薬よりも身近な肉食によって身体を養うことができると提唱したのです。当時の肉食禁忌の風潮において、かなり勇気ある信念に基づいた提唱。
二つ目はお灸。本来お灸は誰しもができるセルフケア方法。艮山は日本式お灸の先生としても著名で後世の灸師に多大な影響を与えました。
三つ目が湯治。昆山および弟子が説いた温泉医学は後世にも大きな影響力をもちました。
この三本柱は、現代のセルフケアとして推奨するのに完璧なラインアップです。
食養生とお灸については、本ブログでも何度も扱ってきましたが、温泉については初めて取り上げました。弱った身体を癒すためには、アルカリ性の身体に優しい温泉がオススメとのこと。その他にも源泉の力が感じられる素晴らしい温泉が日本各地には点在しています。皆さまもぜひ、泉質を調べて体質や体調に合致した温泉に入りに行く湯治旅行に出てみませんか。
皆さまの毎日が温泉のように温かでありますように!
