春のつくいち!―お灸・耳つぼ・スキンタッチ

 皆さま、こんにちは!
 GWも終わり、新年度に入ったあわただしさにも一息付いた今日この頃、健やかにお過ごしでしょうか?GW中は気圧の乱高下で体調を崩された方もいらっしゃるかと思います。そういうときこそセルフケア!
 気圧の乱高下による影響を受けやすいのが頭まわり。そんな時には、頭と体をつなぐ首のケア!
 VidaSanaが患者さんたちにオススメしているのはかっさプレート!

 さて、そもそも「かっさ」とは?

 記録に残っているところでは、2,500年前から中国で行われてきた民間療法である「刮痧(かっさ)療法」が原点。現在は東洋医学的治療法の1つとして使われています。
語源としては、「刮(かつ)」はけずるという意味で、「痧(さ)」は動けなくなって滞っている血液のことをさします。

 専用のかっさプレートを使って皮膚の経絡や反射区を擦って刺激することで、毛細血管に圧を加えて血液の毒を肌表面に押し出し、経絡の流れを良くするというもの。いわば、東洋医学的なデトックスであるといえます。
(日本かっさ協会HP参照)

 かっさプレートは、安いものでは100円ショップでも手に入ります。VidaSanaが使っているのはローズクオーツの石ですが、材質はプラスチックでも木でも石でも金属でもOK。皆さんの肌になじむものを使ってください。
 ポイントは首を少し斜め上に向けた時に首筋の張っているラインをねらうこと。上から下に向けて流してください。ゴシゴシと力をいれるのではなく、表面を流す感じでやりましょう。スキンタッチの要領と同じ感じです。ベビーオイルや美容オイルをあらかじめ首筋に塗るとかっさの滑りがよくなります。

 左右両側、寝る前に流してあげることをオススメします。体調を整えるだけでなく、首筋のしわを目立たなくする効果もあります。身体の内側から美しくなるんですね。

 ぜひ、一度お試しください!

 そして、継続しましょう!

 鏡の前で効果を実感していただけると確信しております。Chikakoは「かっさ」を数日サボった後に鏡に映る首筋のしわの深さに愕然とすること、しばしばあります(笑)。

 サボると分かります、その効果。

 さて、今回は去年のブログでもお伝えしました「つくいち」に再び参加しました報告です!

 会場のつくば市中央公園は新緑に包まれ、さわやかな風が吹く、いい日よりでした!

 前回同様、つくば市鍼灸マッサージ師会会員の先生方とともに無料のお灸体験&物販とスキンタッチ教室および有料マッサージに加え、今回は有料耳つぼ療法体験会も実施!
 耳つぼ体験会は、Vida Sanaが卒業した鍼灸学校・東京衛生学園の文化祭でも教員養成科クラスが定番で実施しておりました。今では教員養成科もなくなり、もはや懐かしい。

 「耳つぼ」という看板を目にした会場のお客さまの反応は「痩せるやつですよね!?」とか「耳つぼダイエットだ!」となります(笑)

 本当に現代日本人は痩せることには関心が高い!

 でも、耳つぼ療法はダイエット目的だけではないんです。そもそも耳つぼは、正式には「耳介療法(Auricular Therapy)」といい、フランス人医師ポール・ノジェ(Paul Nogier 1908-1996)が1950~70年代に理論体系を作りました。ノジェ博士の提唱で、1990年にはWHOによる耳介療法の標準化にむけたワーキンググループ報告書も作成されるほど一般化しました(報告書PDF)。

 ここで多くの方はあれ?! と思うかもしれません。耳つぼって東洋医学じゃないの? という疑問が持ち上がります。答えは、玉虫色になりますが、そうとも言えるし、そうでないとも言える。確かなのは古今東西の伝統医療に起源があるということです。

 ノジェ博士が耳介療法の可能性に気づいたきっかけは、リヨンで整形外科医として開業していた際に患者さんの一人が坐骨神経痛の民間治療として耳介を火傷させた瘢痕を見つけたこと。地中海沿岸に広くみられる民間療法だそうです。古くはヒポクラテスの時代に遡ることができるとのこと(医聖ヒポクラテスについては、以前のブログでも紹介しましたのでそちらもご覧ください)

 火傷させなくとも耳介の圧痛点への刺鍼で鎮痛作用が認められることを確認して、耳に全身を投影する部位があるという仮説を1956年に発表したのです。

耳介のツボの図

 ちなみに、耳を用いた診断と治療の研究は中国でも盛んに行われています。東西で起源は異なっていても実際に効果をあげる治療として認められていることに変わりはありません。

 このような身体のある部位に全身が反映されるという考え方に基づく療法を、反射区療法といいます。温泉施設などで見かける足裏に全身が反映されている図=足つぼもそのひとつです。その他にも韓国発祥で手指に全身を投影する高麗手指鍼療法などがあります。小さい範囲に鍼をすることから、英語では、micro-acupunctureと呼ばれるそうです。

 基本的に、私たち鍼灸師が行う耳介療法では、患者さんのお身体の状態を診断して、症状などにあわせて施術します。VidaSanaが通常使っている刺さない鍼=「てい鍼」などで痛みのある場所を特定して、刺鍼する場合もあるし、鍼のついたシールを貼る場合もあるし、金属や樹脂や植物の種など粒状のものをシールで貼る場合もあります。

 しかし、耳つぼダイエットなどを謳って美容系サロンで行われているセラピーでは鍼灸師資格をもっているセラピストがいるとは限りません。そして、独自の手法を開発した民間の認定協会が山ほど存在しております。もちろん、その場合は刺鍼することはできません。このあたりの事情をご存じの方は多くはないと思いますので、念のために説明しておきます。

 一般に耳つぼジュエリーなどと謳っているサロンで使用されるのは、金属の粒がついたシールです。

 このシールの上にジュエリーをつけることで、「可愛い!」と評判になっている今日この頃。ネールの耳バージョンといったらよいでしょうか。

 本当のツボ刺激を行っているのはジュエリーではなく、その下の金属の粒です。美と健康の二兎を追う人々の欲望! おそるべし(笑)。

 今回のつくいち出展では「耳つぼ療法」というワードに確実に人々が食いつく! ということが実感できました。「鍼灸体験しませんか?」と呼びかけた時との反応の違いが確かにあることを目の当たりにして、鍼灸師としてはいささかショックです(苦笑)。

 Vida Sanaは耳つぼに鍉鍼をおいて反応を見てシールを貼る手法をとりましたが、お疲れが溜まっている方々は、私たちがてい鍼を当てるだけで「いたーい」と絶叫していました。

「耳に鍼を当てるだけでこんなに身体に影響があるのか!」

「耳をやっただけなのに全身が熱くなってきた!」

 と驚く方続出。

 耳つぼはそれまで鍼灸に関心がない方も目を向けてくれる鍼灸入門篇としてはすごく良いツールなのではないかと思うようになりました。
 
 ご希望であれば、Vida Sanaも施術のときに耳ツボシール貼りますのでぜひぜひおっしゃってくださいねー。

 それでは皆様、夏になるまでの変化に富んだ季節をセルフケアで乗り越えましょう!
 
【参考文献】
向野義人2022『Dr.向野の初学者のための耳介治療実践マニュアル』(株)シービーアール.
Raphael Nogier(訳:向野義人)2012『Nogier博士の耳介治療ハンドブック』(株)シービーアール.

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