【バリ島日誌①】伝統とは

 皆さま、こんにちは!
 スギ花粉が猛威をふるうこの頃、いかがお過ごしでしょうか?
 Vida Sanaは例にもれず、この「非常に多い」花粉の飛散量に、目と鼻をやられております。
 というわけで、今年も花粉の時期に国外逃亡をしてまいりました! 

 今年はバリ島! 私Chikakoは約25年ぶりの訪問でした。皆さんに今回はどんな鍼灸のつながりがあるの?と聞かれたのですが、今回は完全プライベートです!
 25年前のバリ島の道路はあまり整備されていない地域もあり、車もバイクも今ほど走っておらず、のどかな雰囲気でした。
 この間のバリ島の変化は、日本の比ではありません。メインな道路は綺麗なアスファルトで舗装され、新しい日本メーカーの車やバイクが大量にひしめきあっておりました。バリは日本と同じ左側通行のため、右ハンドルの日本車をそのまま輸入できるんですね。
 本当に暗くなってから宿泊地のウブドに着いたのですが、夜道を車で走っていると景色が見えず、ヘッドライトに照らされたアスファルトの道路だけがうつり、まるでそこは茨城県。ときおり顔を見せるライトアップされたヒンズー教寺院の存在がバリ島に来た実感をもたらしますが、現代的なレストランやモールがある場所を通っていると25年前に訪れた際の伝統文化が大切にされている土地というイメージは失われてしまったんだなと、正直到着した初日は少しがっかりしました。

 しかし、夜が明けて街中を散歩してみるとこれです。

 ウブドは、バリ島の中でも森と山に近い伝統的王宮を含むエリア。バリ島というとビーチをイメージする人が多いかもしれません。海辺に近いエリアはパーティーピーポーの巣窟または小さい子ども連れのファミリーが滞在する地域ですが、今回はそのあたりには近づかないように過ごしました。
 バリ島は、島民のほとんどがヒンズー教。バリ島が属するインドネシア全体では約9割はイスラム教徒なので、インドネシア内でもとても珍しい場所なんです。なので、バリ島に残る寺院の数々はヒンズー教。
 ウブドの街を歩いているとそこかしこにこのような、

 寺院のような建物があるのですが、実はこれは普通の島民の家らしいのです。(この写真のお宅が寺院なのか私宅なのか区別がついておらず確証がありません。お許しください)。
 バリの伝統的なお宅は親戚一同で同じ敷地内で暮らすため、必然的に敷地が大きくなり、またお宅の一角を必ずお墓が占めているので、観光客がパッと見ただけではそれが一般のお宅なのか、寺院なのか区別がつきません。
 そして、先ほど写真でお見せしたお供え物が街のいたるところ、ひとつひとつのお宅やお店の前、道の角々に置いてあり、神聖な場所とそうではない所の境を見出すことができません。
 Chikakoは25年前バリ島を訪れたときに、この光景に感動を覚えました。昔の日本人もやっていたお供え物の精神が、まだここに残っていたのかと。道路が綺麗になり、先進国のチェーン店が進出して、ほとんどの人間がスマートフォンを持つようになっても、このお供え物文化がなくなっていなかったことに今回も深く感動を受けました。
 伝統は人々の暮らしの中にある。伝統は人々の暮らしの中にあり、連綿と行われ続けているからこそ、伝統と呼べる。
 日本でも、福島県の会津を訪れた時にその空気を感じました。街の角々に糀屋さんが残っています。糀は普通、日本酒やみそ醤油を作るときの材料ですが、糀屋さんが街中にあるということは一般の人が甘酒を作ったり、糀で漬物をすることが当たり前のライフスタイルとして残っているということ。人々の生活の中で使われてこそ、伝統なわけです。
 鍼灸もそうです。人々の生活に寄り添う存在として、鍼灸施術を受けることが当たり前だと思ってくださる皆さんがいて、はじめて伝統と呼べるのです。

 今回の滞在期間中には、デンパサールというバリ島の中心地にて、3月のこの時期だからこそ開催されているオゴオゴ・フェスティバルを見学できました。
 オゴオゴとは何か? 実は、車での移動中に村々の公民館的なところで「進撃の巨人」みたいなオドロオドロシイ張りぼてを見かけて「あれは何?」と思っていたんです。なかなか強面な「魔物の張りぼて」です。写真をご覧ください。この張りぼてのお神輿を担いで練り歩き、海で燃やすなどして悪霊を追い払うという習慣が、バリ・ヒンドゥー教の新年(サカ暦)にあたるニュピ(Nyepi)の前日(つまり大晦日)に行われるのです。

 この神輿、一つ一つがバリ島のそれぞれの地区(コミュニティ)の若者が集まって作ったものなんだそうです。絶対プロが作ったでしょう! と思ったんですが、このバリ島の若者集団、そんじょそこらの若者と思ってはいけません。
 バリ島には、そこかしこに下記のような彫刻が置いてあります(それこそ道の角々、おうちの前に)。

 また、石像は古物店のような場所でも売り買いされているようで、このような仏像店も多々ありました。

 つまりはこのような石像を掘る職人がバリ島にはうようよいるので、村の若者が本気を出すと、このようにプロの仕事レベルの神輿ができるのです
 今年のニュピはちょうど3月19日。私どもがバリ島を訪れた2週間後のことなので、お祭りの雰囲気を味わうことができたんです。ラッキー!
 オゴオゴを燃やした後のニュピは「静寂の日」です。島全域で外出、火・電気の使用、労働、殺生が厳禁され、空港や店舗も全て閉鎖。悪霊を欺き、静寂の中で瞑想し新年を迎える、世界でも稀な静かなお正月。観光客もホテルからは出られなくなり、飛行機も飛ばなくなるので要注意なんです。
 ニュピは特殊な慣習だと思いますか? いやいや、これは日本の昔の三が日みたいですよね。日本でも昔は、1月1日から3日までの三が日は火を使わないように事前に作って置いた「おせち料理」を食べる習慣がありました。静かに家族でお正月を迎えるのが、伝統的な過ごし方です。初売りのセールで大騒ぎをする日本人の姿は、伝統とは程遠いものですね。
 完全プライベートで行ったバリ島でしたが、25年の歳月を経て、伝統とは何かを深く省察させられる思いでした。鍼灸という伝統医療は本当に日本人の生活に根ざしているものなのか。自らの生き方を考えさせられる旅になりました。
 当初は、バリ島の話をブログにする予定はなかったのですが、今回の滞在で体験したことを伝統医療に携わる者としてぜひお伝えしたいと思い、記事にすることにしました。
 今回はバリ島の基本情報をお伝えするだけに留めて、次回はバリ島滞在中のメインイベントについて書こうと思います。

 お楽しみに♪

〈追記〉

 インドネシアといえば、ジャコウネココーヒー。寺院の見学の合間でジャコウネココーヒー販売所に立ち寄りました。バリ島の中ではジャコウネココーヒー販売所がいたるところに存在します。知っている人は知っているかと思いますが、ある特殊な加工を施します。

 この表紙とコーヒーから作り方の想像ができるでしょうか?

 実物のジャコウネコですが、猫よりも狂暴。何を隠そう、こちらはネコという名前がついておりますが、実はマングースの仲間。

 これが加工された状態のコーヒー豆。これを綺麗に洗って炒ったものがジャコウネココーヒーとなります。砂糖を加えなくても大変甘みの強いコーヒーで、日本では一杯3000円することも!

 気になる方は作り方を調べてみてくださいね♪

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