発酵は素晴らしい!日本酒は日本人の誉れ!

皆さん、こんにちは。

 2月も下旬に入りまして、そろそろ花粉で目と鼻がむずむずし始めた今日この頃。

 いかがお過ごしでしょうか。

 さて、今回のブログのテーマは【発酵と日本酒】です。

 ここ10年ほど、日本では発酵ブームが続いているのを皆さんご存じでしょうか?

 発酵とは、微生物が食物などの物質を分解し、人間に有用な状態になることを指します。

 では、発酵と腐敗の違いってなんでしょう?

 それは人間が食べられるのが発酵で、食べられないのが腐敗なんです。

人間に都合のいい状態かどうかで、呼び方が違うだけなんですね、実は。

 では、なぜ今更ながらVida Sanaで発酵なのかと申しますと、

 発酵はその国の食文化を象徴し、日本の特徴を海外に伝えるために必須の知識と改めて認識し、今一度学び直さねばならぬ!と決意した所存です……。

 

 というのは、表向き。まあ、平たく言うと、改めて革新されつつある日本酒の魅力にハマったんですね!

 Chikakoは、そもそも美酒王国:秋田の出身。

 子どもの頃から、日本酒は最も身近なお酒でした。

日本酒は、米でもってカビ(コウジカビ)と微生物(酵母)を同時に使って発酵させる世界でも類をみない酒なんです。

 日頃から、Chikakoは水と米が美味しい秋田の日本酒が美味しくないはずはない!と豪語していたのですが、素材の素晴らしさだけではなく、発酵に関わる技と知恵がうまい酒づくりには欠かせない要素であることを改めて感じさせてくれる日本酒に出会ってしまったのです。

 それが、皆さんにおすすめしたいこの一本。ぜひ紹介させてください。

 秋田県栗林酒造の純米酒、「春霞」赤ラベル。

 秋田県独自の酒造好適米「美郷錦」を100%使った一本。

 フルーティさ、酸味、旨味、スッキリ感、時間の経過や温度で複雑に変化していく味わいは、日本酒初心者も日本酒玄人も惚れこませます。これからの日本酒の可能性を秘めた納得の一本です。

 ……とまあ、恒例の「勝手に日本酒大使」をしたところで、本題の【発酵と日本酒】に戻りましょう。

 発酵は人間の身体とどう関わるのでしょうか。

 発酵食品には、栄養素を微生物が分解することで他の栄養素へと転換していくプロセスがあります。発酵食品の何が素晴らしいかというと、微生物の働きによって、人間にとって有用なビタミン類などの栄養成分が豊富になることです。さらに微生物が分解したあとの食品は吸収されやすく、身体への負担は少なくなります。具体的な例としては、発酵食品に含まれる乳酸菌は腸内環境を改善し、免疫系を整える効果があります。

 日本酒の場合は、米のでんぷんをコウジカビが糖へと変化させ、微生物である酵母が糖をアルコールと炭酸ガスに変えていきます。そのため、日本酒の醸造タンクでは、泡が立ってきます。炭酸ガスが液体の中を通り抜け、ぷくぷくと浮き上がってくる様はまさに微生物の呼吸=息です。(実は、このガスによって蔵人が亡くなってしまう事故が無くならないことも悲しい事実ではあります…。)

このところ、腸内環境の研究が進み、微生物と私たちの見えない関係性に注目が集まっています。実は、腸内環境の研究によってメンタルなうつ傾向を改善するのに、腸内環境を整えることが有効であることが分かってきたのです。こうした研究成果について、東洋医学にたずさわる立場の人々は喝采しました。なぜでしょう?

実は、東洋医学で気血の流れを表現する経絡には表裏関係があります。代表的な十二経絡でいうと、【肝と胆】【心と小腸】【脾と胃】【肺と大腸】【腎と膀胱】が表裏関係にあります。現代医学における解剖学・生理学的な知識を持っていると、【肝と胆】【脾と胃】【腎と膀胱】については近隣性がありそうな予想がつきます。ちょっと意外な感じがするのが、【心と小腸】【肺と大腸】ではないでしょうか。

 そう!【心と小腸】は東洋医学的にもともと深い関係性があるものとして捉えられてきたではないですか!メンタルの問題に取り組むのに、腸からアプローチする方法は、知恵として受け継がれてきていたのです。

そうだとすれば、微生物によって私たちの身体はおろか、精神的な状態までも左右されている可能性があります。そして、特定の微生物が特定の環境に集中しているとすれば、そのことによって、それぞれの土地に特有の文化が生まれている可能性があるといえるのではないでしょうか。

というわけで、日本酒にまつわる興味深いエピソードを紹介しましょう。

 日本酒造りに欠かせない酵母には、もともと伝統的な酒倉に棲息する「清酒酵母」と近代的な清酒造りのために開発された「実験室酵母」があります。どのような酵母を使うのかによって異なる日本酒の個性を引き出す蔵元も出てきているので、興味のある方は日本酒のラベルに記載されている酵母にも注目すると、さらに日本酒の楽しみ方が広がるに違いありません。

 では、「清酒酵母」と「実験室酵母」の違いは何か?

「実験室酵母」の方は、アルコール度数が20%まで発酵を進めると自らが生き残る環境ではなくなってしまうために、おのずとストップがかかるようになっているのだそうです。通常、私たちが買うことのできる日本酒は10%台ですね。ところが、「清酒酵母」は、この自滅を防ぐための機能が欠落しているというのです。

 つまり、伝統的な酒倉に棲んでいる酵母は、まるで日本のブラック企業のサラリーマンのような働きっぷりをするのです。自分が死ぬ環境を作るために死ぬまで働く!こんな悲しい微生物が日本の酒倉にはいるんですって。なんと恐ろしい事実でしょう。

 ということは、日本人が過労死するような働き方をしてしまうのは、微生物のせい=風土のせいなのかもしれません!なんと、コペルニクス的転回な文化/人間観!

日本人の周りには自滅するまで働き続ける酵母がいるせいで、ワーカホリックになりやすいのかもしれません。そんな自覚をもつことができれば、自分の働き方や生き方を別の角度から見直すこともできるのではないでしょうか。

 しかし、まあ日本酒で一杯、乾杯しましょう。

 自分の生き方を見直すのはそれからです(笑)。

 Vida Sanaは日本酒好きを募集しています。酒は百薬の長!すこやかな毎日のお供!

くれぐれも適量を越さないように…(自戒)。

参考文献:和田美代子『日本酒の化学』講談社(2015年)

     小倉ヒラク『発酵文化人類学』角川文庫(2020年)

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