ギリシャで万事灸す

皆様こんにちは!
 Vida Sanaはこの夏の旅行で西洋文明のゆりかご:ギリシャに行ってまいりました!
 ギリシャといえば世界遺産の宝庫!その世界遺産群の写真をまずはご覧ください。

【パルテノン神殿】
 まずは見てください、巨大なパルテノン神殿を。

【メテオラ修道院群】
 メテオラの奇岩群の上に建てられた修道院を。

【アポロ神殿】 
 神の信託を仰いだデルフィのアポロ神殿を。

 以上、ギリシャ世界遺産写真集でした。

 ギリシャと鍼灸なんて関係ないんじゃないの?と思う方も多いと思います。しかし、ギリシャ文明発祥から約2,400年後、江戸時代の蘭学者の間で日本の鍼灸と古代ギリシャはつながることになります。面白いですよね。
 古代ギリシャの医師ヒポクラテス(紀元前460年ごろ – 紀元前370年ごろ)は「疾病の治癒は、生体に備わっている自然の力が最も大きな役割を果たす」と語ったといわれる「自然治癒力」思想の提言者です。医療倫理の教科書には必ず登場する『ヒポクラテスの誓い』※ 1 が一人歩きしていて、鍼灸師の中でもヒポクラテスの自然治癒力思想の方に注目しているのは松田博公先生をはじめとした少数派ですが、実は江戸時代の蘭学者の間では目指すべき医学の祖としてヒポクラテスが崇められました。渡辺崋山筆のヒポクラテス像が九州国立博物館に収蔵されています(右写真)。


 江戸時代は鎖国していたから外国の影響は最小限だったというイメージが今でも根強いのですが、実は大航海時代以降のグローバル化する世界の中で選択的に外からの人・モノ・情報を取り入れる戦略だったということが、江戸文化に詳しい田中優子氏の著作を読むとよくわかります。明治時代の特徴としていわれる和魂洋才は、実はずっと以前からの日本人の生活戦略だったのかもしれません。そして、21世紀の現代こそ、東西の知恵が融合することが求められていることが世界の医療をめぐる状況からも明らかです。伝統医療と現代医療は、決してお互いに敵対しあうものではなく、補完しあうものとして進化することが求められているのです。
 実は、現代ギリシャにおいても多くのギリシャ正教の教会において聖人として信仰の対象となっているのが病を癒した偉人たちです。ヒポクラテスが生まれたコス島には、医学の守護神アスクレーピオスが祀られ、実際に神官医師団が患者に対して医療行為をしていた場所が遺跡として残されています。病める人々に真摯に向かい合う姿勢は、世界のどの時代の人々にとっても心を打つものなのですね。

 さて、そんなヒポクラテスが存在したギリシャの空気を吸って、感じたことは乾燥。乾燥につぐ乾燥。そして、直射日光の熱さ。
 とにかく乾燥して日差しが痛い!この環境ではまともに作物を育てることは難しいと感じます。
 ギリシャでは基本バス移動だったのですが、その車窓からの景色は見渡す限りのオリーブの畑!オリーブの作付け面積は約8870㎢とのこと。ギリシャの総国土は約132,000㎢ですから、国土の約7%がオリーブ畑。日本の米の作付面積が国土の約3%であることを考えると、そのすごさが想像できるかと思います。

【オリーブ畑の写真】

 そんな乾燥しきったギリシャに到着して二日目にして私Chikakoの右耳下腺が腫れてきました。痛みもあります。そして、食べ物を噛んで呑み込むのにも違和感があります。なんてこと!旅先での身体の異常は焦りますよね。ツアーに参加していたため、勝手に行動もできず、医師にかかるのも一苦労。万事窮すか?!
 いや、訳の分からない医師にかかるより、まずは鍼灸!ちょっとしたことなら鍼とお灸で何とでもなる!万事灸す!!
 というわけで、全体の巡りをよくするために、まずは全身の要穴といわれるツボに刺さない鍼=てい鍼をあてました。免疫力を高めて炎症を抑える疎通経絡のイメージです。この時点でも鎖骨下のツボが反応しているのが分かります。リンパの流れを促せ!という合図です。自分でできるのはここまで。
 お灸は、Daisukeに頼ります。日本からトルコ経由での空の長旅で便秘になっていたので、お腹を温めて老廃物を出すための台座灸。そして、首元からデコルテ、足の関連するツボに透熱灸。鍼灸師はどこに出かけるのにも、鍼ともぐさを持ち歩くべし!
 バスでの長時間移動中には、マッサージとパイオネクス。長野式炎症抑制処置をシール置き鍼のパイオネクスで。左側うち踝のツボ=中封と肘内側のツボ=尺沢を使います。その他、免疫力を高めるのに効果的な手足のツボやデコルテ付近のツボにもパイオネクスを貼りました。【以前のブログでパイオネクスのすすめしてあります】
 ホテルに入ったら、台座灸+透熱灸!そんな鍼灸施術を続けること4日間で、腫れはすっきり全快!嚥下の違和感は施術2日間で解消。

 (1日目の耳たぶ下の腫れが、2日目には真ん中に移動し、3日目には更に下に移動していったのが見えます。)

やはり鍼灸は素晴らしいですね!
 万事灸す!格言にしましょう(笑)。
 鍼灸師でない皆様も、海外にいかれる際は台座灸+パイオネクスを持っていかれることをおすすめします。
 もちろん身体に異常が出て専門家に診てもらえる状況なら、診てもらうのがベスト。急場を助けるアイテムとして、台座灸は優秀!ちなみにVidaSanaは煙の出ないタイプの台座灸を使っているので、ホテルの禁煙の部屋でも換気をしながら使えます。また、飛行機でのむくみ改善にはお灸がおすすめ!足の踝周りや足三里などのツボを使ってみてください。マッサージと併用すると更に効果アップ!
 それでは、皆様の生活と余暇が素晴らしいものでありますようにお祈りしております。


【参考文献】
田中優子1995『近世アジア漂流』朝日新聞社.
松田博公2010『日本鍼灸へのまなざし』ヒューマンワールド.
※1 金銭的報酬などを目的に医療を施したり医学を教えたりすることを戒め、人命を尊重し、
患者のための医療を施すこと、患者等の秘密を守る義務など、現代にも通じる医療関係者に
とっての倫理が説かれている。1948年に採択されたWMA(世界医師会)のジュネーブ宣言
は、『ヒポクラテスの誓い』を参考にして作成されたといわれている。

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