【Perú日誌】②Perú料理で健やかに〈Perú薬膳考察篇〉

 今回のテーマは「鍼灸師としてPerúの風土(Food)をみる」と評して、Perúの食べ物について解説していきたいと思います。
 
 実は、Perúの食べ物について、現地Limaから最新かつ詳細な報告かつレシピ―紹介をしてくださっているのが、フリーライターの原田慶子さんです。本当に現地の美味しいものを食べて料理してきた原田さんならではレシピ―の数々!おすすめです!


 原田慶子さんのブログ


 今回の滞在初日に原田慶子さんには、VidaSanaの鍼灸体験をしていただきました。その様子はすでに原田さんのブログで記事になっておりますので、そちらも合わせてご覧ください。


 Vida Sanaのブログ記事


 VidaSanaは、今回の滞在中に原田さんを含め、現地で働く方々の鍼灸施術をしてきました。その詳細は、次回ブログで紹介しますね。
 さて、では日本人鍼灸師・薬膳師の立場から見たPerúの食べ物・風土(Food)について、紹介しましょう。

 なんといっても南米はトロピカル・フルーツのメッカ!マンゴー、パパイヤ、バナナ、ミカンといった日本でもおなじみのフルーツからグラナディジャ・サポテ・トゥナ(サボテンの実)といった日本ではあまりお目にかかることのないフルーツまで、市場にはフルーツがあふれんばかりに陳列されています。


 写真からも食材がもつパワフルなエネルギーが伝わるでしょうか?ペルー料理の素晴らしさは、調理方法もさることながら、その土地と水と太陽が生み出す食材がもつパワーに起因していると感じるのは私だけでないでしょう。その素晴らしさは真似しようと思っても真似できるものではありません。野菜や果物や香辛料が放つビビッドな色!日本に帰ってくるとカラフルな市場の様子が恋しくなります。ひとつひとつの生命が輝いている。その生命をいただくことが、食べるということなのです。


 実は今回の滞在期間中、Daisukeが一度高山病にかかり体調を崩しました。水さえも喉を通らず、下痢と腹痛に悩まされましたが、不思議とマンゴーだけは食べられました。マンゴーを食べたおかげで元気を取り戻すことができたのです。

 薬膳の視点からみるとマンゴーには以下のような効用があります。


芒果(マンゴー)

【働き】
1.清熱止渇・止嘔 煩熱、口渇、吐き気、嘔吐
2.清熱利尿 小便不利、排尿痛
〈辰巳洋『薬膳素材辞典-健康に役立つ食薬の知識-』源草社〉より抜粋。

 つまり、熱が出て、口が渇き、吐き気があるときにマンゴーを食べると症状軽減が期待できるのです。
 Daisukeの高山病の症状として、水が飲めなかったため脱水症状(発熱と渇き)が起こっていました。そのうえで下痢と吐き気があり、正にマンゴーはDaisukeの症状にぴったりの食べ物でした。とはいえ、その時点ではマンゴーに上記の効用があることは意識していませんでした。身体が自然に必要としているものを欲していたことが伺えます。(〈『食薬方剤学』本草薬膳学院〉には、マンゴーは下痢に有効という記載もあります。)
 こうしてめでたくマンゴー教徒になったDaisukeは、日本に帰ってから常々マンゴーを恋しく思っています(笑)。
 そして、南米はフルーツだけではありません、Perúといえばなんといってもこれ↓


 鶏肉です。南米スペイン語ではPollo(ポジョ)と呼び、特にPerúの人は牛肉よりも豚肉よりもPolloを好みます。
 街のいたるところにPolloの文字があり、飲食店ではPolloの文字がない店がないんじゃないかと思うほど、Perúの人は鶏肉をよく食べます。近隣国民から「鶏肉食い」と呼ばれるくらいです(笑)。
街角にはローカルなローストチキン屋が軒を連ねていますが、Limaでよく目にするNorkyおよびRockyというローストチキンのチェーン店は、沖縄系移民が創業しました。移民一世から始まり日系人が、Perúの特に魚食のレベルを向上させたと評価されてきましたが、魚介に限らず広く食文化に大きな貢献をしていることが伺えます。

四分の一ローストチキン


 私たちの滞在中、現地ニュース番組を賑わせていたのが、鳥インフルエンザ問題。海岸で発見されたペリカンの死骸から鳥インフルエンザ・ウイルスが検出されたことがPerúでは一大騒動となっていました。それだけ、鶏肉が市場から姿を消すことへの恐怖心が尋常ではないということなのでしょう。
 しかし、鶏肉に限らず、南米は肉の調理方法が豊かです。煮込み、ロースト、蒸し焼き、炒め物等々。肉のあらゆる部位を余さず利用します。心臓・モツや鶏の手(モミジ)までも、丁寧に下処理して料理します。動物の生命をいただくのだから、丸ごと徹底して食べさせていただくのが道理です。日本のように切り身になった姿しかスーパーに並ばない実情は、子どもの食育の観点からは大いに問題があるとChikakoは感じています。

 では、私たちの2週間の滞在期間中に食べた料理を少しだけ写真で紹介しますね。


 日本に帰ってきて思うのは、やはり肉を丸ごと食べてほしいということです。それに、野菜や雑穀類を丸ごと食べるのがプラスされたら、無敵のエネルギー補給になります。
 南米の人の元気は肉から来ている。そう確信するほど、子どもからお年寄りまでモリモリ肉を食べていました。
 それはただ南米の人が、肉好きだからではありません。彼らが肉をどう調理すれば一番美味しく肉を食べられるかということを知っているからです。南米の肉料理には、必ずたっぷりのイモ類・豆類が付け合わせられます。Perú海岸部では、お米がよく食べられます。これらの食材(肉・イモ類・豆類・お米)は、薬膳の分類では補気類。元気のもとです。さらには、ライムと玉ねぎを使ったサラダも付け合わせられることが多いのですが、これは理気類。めぐりをよくすることによって臓腑の働きを調整する役割があります。つまり、たっぷりとからだの養分を補って、エネルギーを巡らせることができるような食べ方をしているのです!


 美味いと思う料理は誰しもがモリモリ食べるものです。日本では肉食の文化がまだ十分浸透していないように思われます。日本人は魚食のエキスパートと言われていることに安住せずに、果敢に肉食のバラエティも増やしてもらいたいものです。そうすれば、「仕方ない」という言葉を連発してしまう国民性にも変化がおとずれるかもしれません(笑)。


 ということで、ぜひ原田慶子さんのブログを読んで、皆さんも一緒に肉の調理の仕方を学びましょう!そして、健やかな毎日を送れますように!

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