【Perú日誌】①スキンタッチ教室@リマ

 皆様こんにちは!

 朝晩の冷え込みがきつくなってきましたね。 私たちがペルーに旅立つ3週間前には気温35℃、半袖でも汗だくだったのが噓のようです。

 さて、今回からペルーでのVida Sanaの様子を、ほぼ時系列順でご報告していきます。

 第一回目はペルーの首都リマでのスキンタッチ教室についてです。

 スキンタッチについては既にこちらのブログにて解説しておりますのでご参照ください。

 今回、リマでスキンタッチセミナーができるようになったのは、私の大学教員時代からの友人であり、紙芝居作家である、日系4世のぺぺさんが主宰するペルーと日本の文化の架け橋―MukashiMukashi―のコーディネイトによるものです。

 ぺぺさんが紙芝居による読書啓発活動によって現地の教育機関に信頼を得ていたこと、そのペペさんが連携している教育機関へ声掛けをしてくれたことにより、今回のセミナーは実現しました。 本当にありがとうぺぺ!そして、すべてのセミナーにアテンドしてくれたタティー!この二人がいなければリマでのセミナーは成立しませんでした、本当に感謝しかありません。

 今回の滞在では、ペペさんの施術もしたのですが、その様子についてはまた次回紹介しますね。   リマでのスキンタッチセミナーは、大学で3回、幼稚園・保育園で2回の合計5回セミナーを行いました。 大学では、保育士養成コース、小学校教員養成コース、特別支援教育コースの学生を対象に、幼稚園・保育園では教職員を対象に行いました。時系列順に紹介していきます。

 ・サンタベアトリス幼稚園―時習寮

 日本人移民の子どもの教育の場として1928年に時習寮として創設された名門幼稚園。日本語の教訓がそこかしこに書かれています。

 ペルーに到着した次の日に、最初に訪れた場所です。

 我々が到着したのはちょうど園児たちが帰宅するお迎えの時間。教職員の皆さまはお仕事がひと段落したところでセミナーを受けてくれました。お疲れのところ、皆さん真面目に聞いてくれました。

 

 子どもを相手にしている先生方は手つきがいいですね。歯ブラシでの頭への刺激を与えるスキンタッチの実践をしてもらったところ、城間園長先生が「刺激を与えるのをやめても頭に刺激を感じるのはなぜですか?」との質問。「それは、園長先生が心配ごとで頭がいっぱいになっているからですよ」とお答えしたところ、園長先生が「なんでわかったんですか!もう週末のイベントのことで頭がいっぱいなんですよ!(爆笑)」となりました。

 こちらに来て初めてのセミナーだったので、上手く伝えきれないところもありましたが、たくさんの疑問を寄せていただいて、次へと繋がる良いスタートをきれました。乳幼児教育の先生からは、いわゆる西洋式赤ちゃんマッサージは求心性に流すところ、東洋医学方式では遠心性の方向であることの意味なども質問を受けました。実際に日頃から乳幼児に関わっている専門家の皆さまは視点が違いますね。

・聖心女子大学

 聖心女子大はスペイン語では、UNIFÉ – Universidad Femenina del Sagrado Corazón。カトリックの女子修道会である聖心会が母体となっています。上皇妃・美智子さまの出身校である日本の聖心女子大学とは姉妹校にあたります。

 こちらの大学でのセミナーは朝8時からスタートし、11時までの予定でしたので、朝の6時半に宿を出発。リマの大変な朝の渋滞を潜り抜け、7時半に大学到着。時差ぼけも残る滞在3日目、なかなかハードな出だしでした。

 前述のとおり、教育学系3コースの学生に対してそれぞれセミナーを行いましたが、3コースとも学生の特徴が違って面白い反応を得られました。

 保育士養成コースの学生は集まった皆がコミュニケーション能力豊かで和気あいあいとしており、THEラテン系の様子。

 その日は、リマでは大変珍しい雨の降る日で、こういうときはラテン時間。「交通状況が乱れて、時間どおりには大学に到着できない学生が少なくないですからね」と先生方が最初からあきらめている様子が、これまたTHEラテン系。

 一番元気よく楽しんで実技を行うコースでした。きっと乳幼児とも笑顔で接する保育士さんになるでしょう!

ラテン系はノリノリです

 小学校教員養成コースの学生は、最初から落ち着いた様子でしっかり話を聞く態勢が整っています。まるで日本の学生のよう?!友達同士で固まるわけでもなく、きちっと人数が分散するように着席する様子は、日本の学生でもこんなに規律正しくはないかも?!というくらい。

 疑問や質問を積極的に寄せてくれたのは、このコースの学生たちで、スキンタッチを通じた鍼灸への関心誘導ができたことを実感しました。家族に鍼灸師を紹介して欲しいとの声も多数あり、実生活に東洋医学を活かす姿勢が感じられるコースでした。

 特別支援教育コースの学生気質は、ちょうど前の2つのコースの中間くらい。一番スプーンと歯ブラシを忘れるというオチをつけてくれました(笑)。こちらが予備で用意していたスプーンと歯ブラシの争奪戦が起こり、Daisukeは爆笑していました。

 同じ大学の学生とはいえ、コースや先生の性質によって雰囲気も違いましたが、最後には教育学部長カラスコ先生が異文化との共生の重要さを熱くアピールするスピーチで締めてくれました。スキンタッチによってケアする人とケアを受ける人の間でのコミュニケーションの質を向上させることは、ひいては地球上のすべての生命体を大事にすることにつながるという壮大なビジョンを提示してくださったのに、Chikakoは大感激でした。

 聖心女子大学では、感謝状も拝受。セミナーが終わるころには雨もすっかり晴れ、素敵なキャンパスのギャラリーなども見学。女子大らしいおもてなしを受けて、こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいになりました。

・GENKIDS(保育園)

 リマで最後に訪れたのは、GENKIDS。サンタベアトリス幼稚園と同様に、日系で質の高い就学前教育を提供しています。「こんにちは」と挨拶してくれる子どもからは日本語教育も行われている様子が見えました。

 こちらでも、やはり、現場で子どもを相手にしている先生方は手つきがいいことを実感。

 ただスプーンで撫でる、歯磨きでトントンと叩く、というのがスキンタッチなのですが、力の入れ加減を教示すると、すぐに自分のものにしてしまいます。その手先に子どもの姿が想像されていることがわかる触り方です。

 こちらの先生方は小児はりやVidaSanaの刺さない鍼に興味津々。この園でもどこに行ったら日本鍼灸は受けられるの?小児はりはペルーで売っているの?などの質問が投げかけられます。

 今回まわった2つの幼稚園は日系なだけあって、日本鍼灸というワードに関心が高かったように感じます。昨年の神内センターでも感じましたが、日本鍼灸は南米で需要がある!という実感を得ました。ただ、逆にひるがえって日本はどうなんだろう?という疑問はむくむくと湧き上がります。今回のセミナーでは東洋医学は日本文化に根付く伝統医療と紹介してもらいましたが、本当に現代日本社会にどれだけ根付いているのか、消滅危惧伝統医療となっていないか、一抹の不安がよぎりました。スキンタッチは簡単で、どの家庭にもある道具を使い、誰でもできる、日本鍼灸の特徴でもある小児はりの簡易版。このパッケージは南米での日本鍼灸の売り出し方として、大きい意味を持つようです。

 ただ、問題はスキンタッチを本当に継続してもらえるかどうかです。南米の人は新奇なものへの興味で始めるのに抵抗はないが、辛抱強くないために、持続性がない。これは私が悪口を言っているのではなく、南米人自身が自らの性質として自覚していることです。

 わかってはいましたが、この認識は、今回のペルー滞在中、ずっと付きまとうことになります。そして、日本鍼灸普及のため、大きな課題となることでもあります。

  余談ですが、

 ペルーでは銀杏鍼の銀杏(いちょう)が通じませんでした(笑)。

 いちょうは年中温かいリマでは生育しないようです。

 反対にこちらが南米人は使わないだろうと思っていたドライヤーは意外と持っている様子。

 いやー、やってみないとわからないことが多いですね。

 では、今回の報告はこのくらいで。

 皆さまの生活が健やかでありますように!

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