【Perú日誌】②救え!絶体絶命のペペさん!@リマ

 Buenas tardes!

 今回はリマで行った施術と紙芝居作家ペペさんについて報告します。

 今回のリマ滞在中の仕事の一つに、ペペさんの紙芝居制作スタジオ&図書館の開所式参加が予定されていました。

 というのも、ぺぺさんがそのスタジオ&図書館の名付け親に私を指名してくれたからなのです。

 キリスト教文化圏では、子どもが産まれた際に自分の親とは別に名付け親をもうける習慣があります。その親のことをスペイン語では、父をパドリーノ、母をマドリーナといいます。そして、人間だけではなく建物や施設等の新しく出来上がったものに対しても同じようにパドリーノもしくはマドリーナを置く習慣があります。

 というわけで、大変光栄なことに、ぺぺさんがこの度正式にオープンした「ライミ紙芝居の学び舎&図書館―ペルーと日本の文化の架け橋」のマドリーナとしてChikakoの名前が掲げられたのです!

 ぺぺさんの活動を少しご紹介しましょう。ぺぺさんは実は広告業界でデザイナーとして活躍した経験があるのですが、紙芝居に出会ってしまったために、これぞ自らの魂をかけて普及したいこと!と決心して、紙芝居作家への道へと舵を切ったアーティスト。勝手ながら、私の東洋医学との出会いに共通するものを感じてしまうわけです。ぺぺさんは、ペルー人の読書率向上を目指し、まずは子どものうちに物語に親しむことが必要だとし、自分のルーツである日本発祥の文化である紙芝居を使った啓もう活動を始めました。ただし、活動の舞台はペルー国内に限らず、ラテンアメリカをはじめ欧米諸国にも拡大し、ブックフェアでの紙芝居実演や教育セミナーなどを実施しています。

 そんなぺぺさんと私の出会いは約10数年前にさかのぼります。

 ペルーの長年の友人からの紹介で、ペペさんのアトリエで紙芝居の舞台や自転車を見せてもらうことになりました。

今回も飾られていた懐かしい自転車

 日本ではほとんど見られなくなった自転車の荷台に紙芝居の舞台を設置して、子どもたちにワクワクするお話をする紙芝居師が、ペルーで活動をしているということに驚きと喜びを感じたのを覚えています。しかも、彼の紙芝居の舞台は、彼のルーツである日本とペルー・アヤクチョの文化が融合したハイブリッド・アート。日本とペルーの文化をつなぐということが、まさに物体として目の前にある!ということに私は心躍らせました。

 その後も継続的にペペさんとのコラボをしてきたのですが、2017年には当時私が勤務していた文教大学の特別講師としてペペさんを招くことになり、合わせて茅ヶ崎市立図書館でぺぺさんによる紙芝居イベントを行いました。そのご縁がもとで、茅ケ崎市立図書館からは、除籍となった中古紙芝居をペペさんの紙芝居図書館に寄贈していただけることになりました。

 

 さらには、2019年にペペさんがペルー文化庁からの支援を受けて紙芝居のルーツである日本での様子をドキュメンタリー作品にするために来日した際にも、私が日本国内でのコーディネータ&通訳を務めさせていただきました。

 というような経緯もあり、今回、私がマドリーナ指名されることとなったわけです。

 さて、その大事な開所式の3日前に私どもVidaSanaがペルーに到着。ぺぺさんも私たちのスキンタッチセミナーへ同行する予定だったのですが、当日になるとぺぺさんではなく奥さんのタティアーナさんが登場。タティアーナさんは現在ぺぺさんの専属マネージャーとして働いており、タクシーの手配から、サポート、アテンド、紹介まで何でもこなすスーパーウーマン。私たちのセミナーが滞りなく行えたのはタティアーナさんがあってのことでした。本当にタティありがとう。

随所で我々の紹介をしてくださるタティ

 「あれ?ぺぺさんはどうしたの?!9月上旬には、ペルー北部の中心都市ピウラでのブックフェアで活躍している様子だったのに。」

そう、なんとそのピウラでペペさんは体調を崩してしまったようなのです。一週間にもわたってぺぺさんは寝込んでいるとのこと。頭痛、下痢、嘔吐、発熱、発汗、完全に感染症でやられている様子。ペルーではデング熱が2023年2月から国内史上最大の流行となっており、ぺぺさんも検査の結果、デング熱と判明。日本ではあまり知られていませんが、デング熱は死につながる熱帯の感染症として恐れられています。

 ぺぺさんは未だ起き上がることもままならず、式典は2日後に控えている。体質上、一般的な薬は使えない。

 ……となったら、これは鍼灸の出番!!

 というわけで、早速セミナーが終わった後、ぺぺさん宅に訪問。

 ぺぺさんはベットの上でぐったり、くすんだ顔色で全く動けない様子。挨拶のハグも寝ながらやっとの様子。

 39度台の熱をとにかく下げなければ体力が回復しない。古典的に解熱には大椎というツボへの施灸と決まっています。そして、身体全体を触ってみると頭や首まわりは熱いのに、足は冷たい。お腹も冷たい。代謝がとても落ちているのです。とにかくお灸が必要な身体になっています。必要だと思われる身体のいたるところにお灸です。台座灸と透熱灸を駆使して、お灸、お灸、お灸!とにかくお灸の施術を終えて、VidaSana宿に帰った晩には、なんと37度台まで熱が下がった!という嬉しいお知らせ。

お灸イメージ図

 それでも、まだまだ病は残っています。一週間も寝込んだので体力も戻っていません。おそらくVidaSanaの来訪に合わせて式典を執り行うため、スケジュールを切り詰めて働いたのではないかと思いました。普段からワーカーホリックなぺぺさん、仕事の疲れに病が重なり重篤化したことは火を見るよりも明らかでした。

 そこで2日後の式典当日も早めにぺぺさん宅へ向かい、施術をすることになりました。そのときもやはりベットから起き上がるのは辛そう。でも、顔色は改善してきて足は温かくなっています。二回目の施術もひたすら全身にお灸を続け、施術を終えました。

 その1時間後の写真がこちらです。

 ぺぺさん、見事に皆さんの前で挨拶を滔々となさいました。

 3日前には声さえもちゃんと出ない様子だったのに…VidaSanaの施術云々以前に、仕事人ぺぺさんの精神力、恐るべし……

立つこともままならなかった状態から、こうしてつつがなく式典を終えられて本当に良かったです!

次回は、ペペさんの紙芝居と日本鍼灸普及セミナーのコラボ!ぜひ実現したいものです。

 いずれにせよ、VidaSanaはペルーでお灸の素晴らしさを改めて実感しました。

 これからもどんどんお灸を使っていきます。

 感冒にはお灸、感染症にもお灸、慢性疲労にもお灸、お灸万歳!

 では、次回から秘境チャチャポーヤス編をお送りします。

 皆さまの日々の暮らしが健やかでありますように。

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