【Perú日誌】③北のマチュピチュ:クエラップ遺跡を追え!@チャチャポーヤス

※今回のブログには、少し生々しい写真が出てきます。ご了承ください。

 Buenas noches!

 今回からはチャチャポーヤス編です。
 チャチャポーヤスについては前述のブログで少し触れましたが、ここで改めて説明したいと思います。

 チャチャポーヤスはペルーの北部にあるアマゾナス州の首都。市の人口規模は3万人程度。

この青丸がチャチャポーヤスです。

 移動は飛行機ならリマから1時間20分ですが、直行便はコンスタントにないのが問題です。リマから定期的に飛行機が飛んでいる都市から車で移動するのだと6〜8時間はかかります。長い間、秘境といわれたゆえんです。
 周りを高度3000〜4000m級の山が囲み、チャチャポーヤス自体も高度は2335m。
 気温は年中通して変化が少なく、最高気温は20℃程、最低気温は8℃程と過ごしやすい気候。
 5月~9月までは乾季で雨が少なく、10月~4月は雨季ですが農業に適した降水量が保たれています。
 高山の標高差を活かした農業が特徴的で、1000mの農地ではフルーツを、2000mではトウモロコシや豆や小麦を、3000mではジャガイモなどの根菜類を、育てることができ、農作物に事欠かない豊かな土地です。


 食用のクイ(モルモット)も多くの家庭で飼育されています。市場でも鶏肉や豚肉と並んでクイの肉が売られています。

インパクト抜群な姿ですよね

味わいはどちらかというと牛肉に近い感じで、皮がカリカリして美味しいです。

クイはハレの日に食べるものなので、高級食材です。この一匹を料理したものはランチ4回分の価格でした。

お料理にすると見た目はクイかどうかわかりません。


 リマではあまり見かけない保存食として、干し肉もよく食され、昔からの地方の暮らしを感じさせてくれます。


 アマゾン川に続く源流があるため、上流は水が透き通ってみえ、鱒漁が盛ん。街中の食堂では、鶏肉と並んで鱒料理は定番メニュー。私たちも何度も食す機会がありました。味は日本で食べる鮭をもう少しタンパクにした感じです。

豪快な鱒の丸焼き

川では近所のおじさんが網で漁をする光景を見ました。鱒は生活の一部です。


 トウモロコシとジャガイモと豆を主食として、多彩なスープと食すのが伝統的な山の暮らし。このシンプルな山の料理が山の健康的な生活の象徴。

 これらは、私たちが現地に行って仕入れられた情報なのですが、なにせこのチャチャポーヤス地方の現状について、情報が乏しい。
 日本語でGoogle先生に「チャチャポーヤス」と入れても日本語のWikipediaすら出てこない。
 1週間の天気を聞いても雷雨、雷雨、雷雨と表示される。
 私たちが飛行機の予約をしたときは1週間に1本しか便が飛んでいませんでした。(現在は週に何本か飛んでいるよう)
 アマゾンに近いこともあり、どんな秘境なのだろうかと覚悟して準備したのですが、
 行ってみれば快晴。リマよりも空気は乾燥しており、洗濯物もよく乾く。

快晴のチャチャポーヤス


 チャチャポーヤスの中心地には商店と食堂が立ち並び、フルーツや食物であふれるカラフルな公設市場も存在しました。


 一体どういったルートで運ばれてくるのかわからないのですが、工業製品の洋服やスナック菓子も都市部から供給されており、ほとんど首都と変わりない物品を手に入れることができます。(輸送コストがかかる分、料金はリマの1.5倍になりますが)
 
 最も有名なクエラップ遺跡を中心に、インカ帝国以前の遺跡が多々残るこの土地は、「北のマチュピチュ」という謳い文句で開発が進められ、パンデミック前の2019年にはマチュピチュに迫る観光地としてかなり盛況になっていた様子。ところが、その後のコロナ禍に自然災害があいまって2023年現在ではいささか寂しい様相を呈しています。

 この地域の遺跡群の特徴としては、円形住居の石組みが密集して残り、一段目を土台としながら、竪穴式住居のように2段目から出入りするというような家の造りになっていたようです。 


既に観光地として有名なクエラップ遺跡には、麓のヌエボ・ティンゴという町からバスとロープウェイでアクセスします。
ロープウェイはなんと片道約4キロで高度差800メートル、谷を3つ越える大移動。ものすごい角度で上下移動するワイルドなロープウェイ!チャチャポーヤスの一大プロジェクトで、ヨーロッパからの資金と技術援助を得て2016年に完成しております(円借款も絡んだとのこと)。


マチュピチュとは違い、観光客に揉まれるようなこともなく、景観もよく、高度も3000m手前。高度3600mのクスコに比べたら高山病のリスクも低いので、遺跡スポットとしてオススメの観光地です。

 そして、チャチャポーヤスといえば外せないのは、「ミイラ」です。


 この指人形のような形のものが個人単位のお墓で、断崖絶壁に数体そろって立っていることが多く、この中に遺骨が折り曲げられた状態で入っています。エジプトのミイラのような遺体の防腐処理をした状態のものではないそうですが、広義にミイラと呼ばれています。

上の写真のミイラが入っているお墓は、カラヒア遺跡という場所にあります。
山の上の村から徒歩か馬で15分ほどかけて谷へと下っていくと見ることができます。

このお墓は戦争で功績を挙げた人や誇るべき人を埋葬したものらしく、下半身の装飾が1本線は女性、2本線は男性を表しています。約700年前から存在していたそうですが、ここ最近1体がドローンによって破壊されたそうです。700年間も自然の力にも負けずに山から敵を見張り続けてきたミイラが、現代テクノロジーで破壊されてしまうのはなんとも皮肉な話です。

 この地域ではこのような遺跡やミイラが数多く発見されており、レイメバンバ博物館には数百体が収蔵されています。そのミイラたちと一緒に、パンデミックの間、10か月間にわたって1人で過ごした方が今回の私たちのチャチャポーヤス滞在をコーディネイトしてくださったAyakoさん。
 曰く、ミイラと一緒にいると不思議な現象がよく起こるそうな。
 ミイラの調査にくる研究員の中には、ミイラに当てられてしまう方がいるそうです。そんなときはミイラに対して敬意を示して、しっかりお供え物をして挨拶をしなければなりません。その上で調査のお願いをすればお許し頂けるようです。

ミイラ室の様子

 それにしても、私どもが印象に残ったのは、何といってもチャチャポーヤスの豊かな自然でした。
 荒涼とした禿山はほとんどなく、標高別3段農法による畑や植林で山が緑におおわれています。


 世界三大フルーツのひとつであるチリモヤの産地でもあり、新鮮な完熟チリモヤを食べられる幸運に恵まれました!


 街中から山中まで、鶏と牛をみない場所はなく、家畜がそこかしこで放し飼いにされていました。そのため卵は新鮮なものをいつも提供してくれます。こちらの鶏の姿は、まるで伊藤若冲の絵から飛び出てきたかのような美しさでした。


 酉年生まれのDaisukeは大興奮で写真を撮りまくっていました(笑)。

 ペルーでは珍しくないのですが、ハチドリもたくさん見かけました。アマゾナス州のお土産として、ハチドリの置物がたくさん作られています。


 この尾っぽが長いハチドリはこの地方でしか見られないことが売りだそうですが、現地に住んで14年のAyakoさんも一度もみたことがないそうです(笑)。本当に存在するのでしょうか?

ハチドリはペルーのお札にも使われています。

以上、今回11日間滞在したチャチャポーヤス周辺の概要です。

自然豊かで、昔ながらの暮らしの風景の中で人と動物が同じリズムで生きていることが肌で感じられました。
私がペルーに留学した30年前は、チャチャポーヤスは秘境中の秘境でした。まさかリマから飛行機1時間20分で行けることになるとは思ってもいませんでした。今回、本当に素敵な経験をさせていただいたAyakoさんには感謝しかありません。

では、次回はこのチャチャポーヤスの国立大学で行ったセミナーについてです。

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